1台のスマートフォンに2枚のSIMカードを装着できる、デュアルSIM仕様のSIMフリースマートフォンは珍しくありません。
しかし今までのデュアルSIMスマホは、2枚のSIMカードを装着していても同時に通信したり電話を待ち受けることはできませんでした。
正確に説明すると、同時待受けが可能なスマートフォンは存在します。しかしその多くは3Gと2G、もしくは4Gと2Gの組み合わせでしか利用することができません。
日本国内では2Gを利用している通信事業者は存在しないので、事実上同時待受けは不可能だったのです。
ところが、国内で発売されたMotorola製のSIMフリースマートフォンは、なんと4Gと3Gの組み合わせのデュアルSIMデュアルスタンバイに対応しました。
遂に国内でも同時待受けが可能となったのです。
しかし、同時待受けが可能と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回はデュアルSIMデュアルスタンバイのメリットとデメリットについて説明しましょう。
デュアルSIMスマートフォンとは?
現在販売されているほぼ全てのスマートフォンはSIMカードを利用しています。
SIMカードには1つの電話番号が割り振られており、これを端末に挿入することで初めて電話やデータ通信を行うことが可能になります。
また国内で販売されている多くのスマートフォンは、このSIMカードを収納するためのスロットが1つだけ備わっています。
しかし、中にはSIMスロットを2つ搭載しているスマートフォンも存在します。このような端末はデュアルSIMスマートフォンなどと呼ばれています。
大手キャリアから販売されているiPhoneやXperia、Galaxyシリーズなどは全てSIMスロットを1つしか搭載していないシングルSIMですが、SIMフリースマートフォンとして販売されているなどはデュアルSIM仕様になっています。
デュアルSIMはSIMフリー端末の中でも特に海外メーカー製の機種によく見られます。
デュアルSIMのメリット
それでは2枚のSIMカードを1台の端末で利用できることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
例えば、単純に2つの電話番号を持てるので、仕事とプライベートで2つの電話番号を使い分けるといったことが可能になります。
2回線契約しても、端末は2台も持ち歩かなくて済むようになるわけです。
また、同じ時間、場所でも通信事業者によっては電波が繋がりにくかったり、通信速度に差が生じることがあります。
しかし複数の通信事業者と契約していれば、お互いに苦手な通信エリアをカバーすることができます。
あるいは通信用途に応じて2回線を使い分けるといったことも考えられます。
その中でも特に多いのが、キャリアの音声SIMとMVNOのデータ通信SIMでの運用でしょう。
一般的にMVNOの通話料は割高なため、通話料を安くするためにキャリアとMVNOの両方を契約されている方は少なくないハズです。
特に大手キャリアなら月額2,700円から通話定額プランを利用することができます。
現在NifMoでんわなどのIP電話を除き、完全な通話定額サービスを提供しているMVNOは存在しません。
たくさん通話する人にとっては高品質な音声通話を完全定額で利用できる大手キャリアはやはり魅力的でしょう。
デュアルSIMの注意点
基本的にメリットしかないデュアルSIMですが、実際に2枚のSIMカードを挿して運用する場合の注意点は少なくありません。
まず冒頭でも述べた通り、2枚のSIMカードで同時に通信することは不可能です。
SIMカードAで通信している間は、SIMカードBに着信があってもそれを知ることさえできません。
その都度通信したいSIMに切り替える必要があります。
そのため音声SIMとデータ通信SIMの2枚を挿して運用する節約方法もあまり現実的ではありません。
データ通信中は電話を待ち受けることができませんし、電話を待ち受けてる間はLINEやメールを受信することが不可能となります。
また一部のデュアルSIMスマートフォンでは、SIMスロットの1つがSDカードスロットと排他利用になっている機種もあります。
SDカードを2つ目のSIMスロットとして共用する作りになっているので、そのような機種でSDカードを利用する場合はデュアルSIMで使用できません。
さらに国内で販売されているデュアルSIM端末でも、片方のSIMスロットは2Gにしか対応していないという機種さえ存在します。
そのような機種は実質シングルSIMでしか使えないので特に注意が必要です。
デュアルSIMデュアルスタンバイとは?
デュアルSIMで最大のネックとなるのが同時待受けが不可能という点でしょう。
これを解決してくれるのがデュアルSIMデュアルスタンバイ、略してDSDSです。
デュアルスタンバイに対応しているMoto G4 Plusのようなスマートフォンでは、片方のSIMカードで4G LTE回線によるデータ通信を行っている間、もう片方のSIMカードでは3G回線で通話を待ち受けることが可能です。
この時に気を付けないといけないのは、あくまでも同時待受けが可能だという点。
音声通話を利用している間は4G LTEでのデータ通信は利用できません。2枚のSIMカードで同時に通信することは不可能です。
Wi-Fiに接続していれば通話中もデータ通信を利用できますが、基本的に同時通信は不可能であることに注意しましょう。
また、同時待受け中はバッテリーの消費量が大きくなるというデメリットも存在します。
デュアルスタンバイのデメリットを克服するデュアルアクティブとは?
デュアルスタンバイと似たような機能として、デュアルSIMデュアルアクティブ、略してDSDAという概念もあります。
デュアルアクティブは2枚のSIMカードで同時通信が可能なことを指していますが、現在日本国内で使用可能なデュアルアクティブ対応機は存在しません。
3G×4Gのデュアルアクティブが可能になれば、同時通信が不可能というデュアルスタンバイ最大のデメリットを克服できます。
しかし、3G×4Gのデュアルアクティブは技術的には十分実現可能かと思われますが、デュアルスタンバイに対応しているスマホでさえまだMoto G4 Plusしか存在しないのが現状です。
まとめ
海外ではMoto G4 Plus以外の3G×4Gのデュアルスタンバイ対応機も何機種か発売されており、近いうちに国内でも販売されることになるでしょう。
デュアルスタンバイに対応したスマートフォンであれば、今までキャリアとMVNOの2台持ちをしていた人は1台にまとめることができるようになります。
仕事とプライベートで電話番号を使い分けたり、通話料が安い回線とデータ通信料が安い回線を組み合わせるなど、今までのデュアルSIM機では現実的でなかった使用方法も実用的になります。
たくさん通話する人やキャリアを辞めたくない人、あるいは2台持ちをしている人はデュアルスタンバイ対応スマートフォンを検討してみてはいかがでしょうか。
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